開発者日誌: クラン

開発者日誌・第 2 回では、クランシステムを詳しく紹介致します。また、クランシステム開発の内情についても明かしましょう。複雑な開発プロセスを紐解き、様々な決定事項を理解し、そしていくつかの興味深いデータを紹介するために、プロジェクトマネージャーである Dmitry Poliyakov (ゲーム内ユーザー名: [WG] 6aT9l_oqo6p9leT) に協力を求めました。

クランとは?

その答えは、プレイヤーと開発者では異なるかもしれません。次の画像をご覧ください。

プレイヤーにとってクランとは、志を同じくする人々によるコミュニティであり、クランメンバー同士でチームを組んだり、交流したり、ボーナスや割引を得たり、あるいは「政治的な」陰謀を企てたりすることだってできます。そのクランが素晴らしい勝利を重ねてきたのであれば、そのメンバーはクランの栄光に満ちた歴史を誇りに思うことでしょう。しかし同時に、プレイヤーに好んでもらえるクランシステムをゼロから作り上げる、という場合には、話はあらゆる点においてちょっと変わってきます。開発者にとってクランのあるべき姿とは:

  •    プレイヤーのフレンド数を向上させ、チームゲームの魅力を高める
  •    各種ボーナスを提供することにより、プレイヤーのモチベーションを高め、日常的にプレイしてもらう (開発者であれば当然、自分たちが開発したゲームをプレイして欲しいのです)
  •    プレイヤーに自分たちのクランの目標を広めてもらう: 戦績向上、価値ある統計と記録、自分がクランにとって重要であると各メンバーが実感できるような、魅力あるクランを目指す
  •    トーナメント・プレイヤーやプロのサイバースポーツ選手を育成する長期的な目標として

このように、プレイヤーと開発者が目指すものは基本的には同一なのですが、しかし開発者の仕事の出来を評価するのはプレイヤーですので、プレイヤーの方が立場が上であると言えます。そして、プレイヤーが自分たちの目標を達成できるように、クランシステム関連のプロジェクトにおいては、開発者はプレイヤーの公道を理解する必要があるのです。

 

初心者からプロまで

プレイ開始当初からクランおよびサイバースポーツ関連の機能を有するゲームにおいては、初心者は初期段階から自分が達成できること、そのために自分がやるべきことがわかります。初心者がプロになるまでの道のりは、多くの場合、このような形です:

初学者 ⇒ ランダム戦プレイヤー ⇒ クランプレイヤー ⇒ サイバースポーツ選手

ですが、このステップの最後まで到達することは義務ではなく、各自に適したレベルに到達できればそれで良いのです。レベルが高くなるほどに、そこに到達できるプレイヤーは少なくなります。

  •    初学者: ゲームをインストールしたばかりで、まだ試している段階のプレイヤーです。まだクランやトーナメントにはあまり関心を持っておらず、そのゲームのプレイを継続するかどうかをまだ決めていない段階にあります。
  •    ランダム戦プレイヤー:ゲームの基本的なプロセス、メカニズム、テクニックを学びつつあります。ランダム戦においてはクランに所属するプレイヤーにも巡り会いますし、クランボーナスやコンペティションに関するニュースを読むこともあるでしょう。クランに所属したいと思い、候補クランを探し始めるかもしれません。
  •    クランプレイヤー:クランに加入し、共通の興味や目標を共有するフレンドと共にプレイします。競争心が、ひとつのクラン内においても、あるいは他のクランとの戦いとの仲でも芽生えることでしょう。そして最高の競争心は、サイバースポーツにこそあります。
  •    サイバースポーツ選手: 彼らの目標はゲームそのものではなく、高い力量を持つ相手との対決にあります。堅実なチームプレイに留まらず、素晴らしい賞金や賞品を目指して戦う本格的な大会への参加に興味を持っています。

もちろんクランとは、ゲームを細部に渡るまで習得したプレイヤーにとってのエンターテインメントです。ですが私たちは、クランシステム全体をそのような少数派のプレイヤーのためだけに開発することは好ましくないと考えており、その理由を説明させて頂きたいと思います。

Clan Wars については?

プレイヤーの興味は様々ですが、World of Tanks Blitz プレイヤーであれば誰でも、これからプレイするゲームセッションがどのような内容か、戦闘やガレージにおいてどうすべきかを知っています。

想像してみてください。私たちが長期に渡ってオフィスで作業し、素晴らしいクラン機能、トーナメント、さらにはグローバルマップさえ開発し、様々なタイプのレーティングや、プレイヤー同士で競い合う方法を考案し、その全てを意気揚々と実装した結果…結局誰もプレイしなかった、というケースを。膨大なリソースを投入して何ヶ月もかけて開発した結果が、失敗だったというケースを。これは単なる時間の浪費であるばかりではなく、信頼を失うことにも繋がります。

初期の統計データが、ほとんどのクランにおいて同時オンラインプレイヤー数が少ないということを示していた、と仮定してみましょう。このデータは、クラン戦を実装したとしても、誰もプレイすることはないであろう、ということを意味するものと言えます。敵チームを求めて待つ時間が長くなりすぎるためです。そしてこれはモバイル・プラットフォームの本質と言えます。つまり、プレイヤーは単に時間がある際にプレイするのであり、スケジュールを組んでプレイするのではないのです。

過剰なクランシステムを実装した結果として失敗したオンラインゲームは多数存在しており、私たちはそのような失敗を繰り返したいとは思いません。そのようなシステムは、遅かれ早かれ閉鎖的なエコシステムとなり、新規プレイヤーがそこに加わることはほとんど不可能になってしまうのです。そしてそうなってしまえば、クランシステムは、ほとんどのプレイヤーにとっては楽しむ余地のない、無用なものであると言えるでしょう。

私たちのタスクは、単にクランを実装することではなく、あらゆるプレイヤーの興味を引き、スキル向上を目指すプレイヤーであれば誰でもゲームレベルの壁を乗り越えられるようなシステムを作ることなのです。

これを実現するためには、クラン機能を徐々に実装していくことが必須であり、そしてこのアプローチは一石二鳥であると言えます:

  •    1 羽目:段階的なクランシステム開発であれば、プレイヤーの経験やスキルレベルの違いに対応できるため、全てのプレイヤーにとってずっとオープンなものにすることができます。
  •    2 羽目:私たちは、クランシステムの各要素の人気や使い勝手に関する統計データをモニターし、プレイヤー経験に関するデータを収集します。その上でバグを修正し、好評要素についてはその後のアップデートでさらなる充実を図っていくことができます。

World of Tanks Blitz は、真の意味で総合的なオンライン・マルチプレイヤー体験を提供するモバイルゲームとしては最初のもののひとつです。私たちはモバイルデバイスにおけるこのジャンルのパイオニアであり、よって「1 回のカットのために 3 回は計測する」というルールを徹底していくことが重要と言えます。

回顧

では、表も裏もお見せしたところで、現時点における開発者視点からのクラン開発のメインステップを紹介しましょう。何といっても、統計データが極めて多くの決断に影響するのです。

クランの導入

クランの最初のバージョンは極めてシンプルでした。クランを作成し、命名してロゴを選択することができました。ですが私たちはこのような連合オプションに極めて多くの需要があったということを知っており、特にフォーラムのクランセクションにおいてプレイヤー達が独自のクランシステムを築いていたことが、最も鮮明な証拠でした。

よって、クランやクランプレイヤーの数が急速に成長していったことは驚きではありませんでした。クランの導入から 1 週間後の段階では、アクティブ・クランプレイヤー数は 200,000 名近くに達していました。そして現在、週別のアクティブ・クランプレイヤー数は 500,000 名を超えています

自動採用とオープンクラン

クランシステムのスタートは順調なものでしたが、しかしそれはクランに所属するプレイヤーが同時に戦闘に参加する準備を整えている、ということを意味するものではありませんでした。そしてさらには、システムそのものにも広範囲の改良が必要でした。

例えば、適切なクランを見つける手順をよりシンプルにする必要がありました。ほとんどのケースにおいて、平均的なプレイヤーからの加入申請が拒否されていたのです。複数回加入を拒否された後に、まだクランに加入したいと思い続けるプレイヤーがどれぐらい存在するでしょうか?

この問題を解決するため、自動採用機能、およびそのプレイヤーに合うクランのリストを表示する機能を実装しました。これによって状況は大幅に変わり、今ではクランプレイヤーの半数は自動採用によるものです。

プレイヤーとクランが出会う機会が少なすぎる、という問題が判明しました。そしてほとんどのクランは、候補者の実績を厳格には求めない、ということもわかりました。

50% を超えるクランが、ゲームプレイヤーの 60–80% が条件をクリアするように募集条件を設定しています。

自動採用機能のもうひとつの大きな利点は、大人数を短期間で集めることができる、とういうことです。自動採用機能を利用している大規模クランの数は、自動採用機能を利用していない大規模クランの数の 5 に達しています。

もちろん、面談や審査を省いて新メンバーを採用することにはリスクも伴います。ですが、多様なメンバーを合理的に管理し、良いクランを作っていくことが、クランマスターの任務と言えるでしょう。

シンプルな目的: サプライ

しかしながら私たちは、クランに目的が無ければ、クランが長続きすることはない、という点を極めて明確に理解していました。そこで最初に試した目的は、収集された統計データに基づく最初のクラン・コンペティションでした。これはとても熱いものとなり、そこにはドラマもあり、政治的な陰謀もあり、激しい議論もありました。

ですが、既に述べた通り、クランはハードコア・プレイヤーだけのためのものではなく、1 日数戦だけプレイするようなプレイヤーにとっても魅力的かつ有用である必要があるのです。そこで、クランのための本当の意味での最初の目的は、共に戦うことではなく、クランの利益を求めるものにしました。その結果誕生したのが、サプライシステムです。

クランに所属するプレイヤーであれば誰でも、消耗品や拡張パーツの割引、その他のボーナスをコンスタントに得ることができます。クランのために経験値を稼ぎ、個人アクセスポイントを稼いでボーナスを得ることは、クランにとってもそのメンバーにとっても利益があると言えます。

まず第一に、サプライは一般プレイヤーよりはクランの主要メンバーのアクティビティに影響します。アンロックしたサプライレベルが高いほど、プレイヤーのとってそのクランのメリットが大きくなるからです。

クランが送付した加入招待の数は、サプライシステムの導入後に倍に増加し、ピーク時には毎週 100,000 件を超えました。このように各クランが新メンバーを求めることで、サプライの最終版の導入も順調なものになると考えています。サプライレベル X の褒賞はとても魅力的なものになりますよ。

トレーニングルームの実装はもうすぐ!

ゲームメニューにある魔法の「トレーニングボタンの存在については、長らく話題になってきました。そしてプレイヤーが既に実装済みであるはずの訓練戦に参加できないことに不満を持つのは当然のことでした。

しかし様々な形でのリーク情報は、いずれも不完全な情報だったのです。確かに、訓練戦に参加する機能は、ずっと前から存在していたのですが、しかしそれは内部利用のための技術的機能に過ぎず、インターフェイスやルーム設定といったものはなかったのです。

トレーニングルームは、独立して組織されたトーナメントを開催するための手段としても利用でき、Blitz の歴史において初めてクランチームが戦う機会となります。あなたのクランは、7vs7 戦のためのメンバーをフルに集めることができるでしょうか?

そして私たちはインターフェイスを実装し、プレイヤーと共にテストしました。バージョン 2.9 において最初のバージョンのトレーニングルームを実装することを、ここに発表させて頂きます!

今後は?

もしこの記事をしっかり読んで頂けたのであれば、今後については予想できるのではないでしょうか。つまり:

  •    私たちは、トレーニングルームの評判を分析します。
  •    その上で、判明した問題点の修正に取り組みます。
  •    最も重要な点は、クランがトレーニング戦のメンバーをフルに集めることができるかどうかを調べる、という点です。

もし全てがうまくいけば、今度はコンペティション機能の開発へと進むことになるでしょう。まずは、トレーニングルームでの戦闘を楽しみにしてください。近日中に、この新機能の詳細を紹介させて頂きますので要チェックです!

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