開発者日誌: マップ開発プロセス

開発者日誌へようこそ! 今回は、車輌特性の考慮から隠れ場所の検討まで、マップ作成プロセスの全容をご紹介致します。今後は、将来的な計画や、断念せざるを得なかったいくつかのアイデア、マッチメイカーやその他のゲームメカニズムの仕組みについても紹介していきます。

この第 1 回では、レベルデザイナーであるコンスタンチン・チェルニコフ (Konstantin Chernyakov) が、新マップの開発や既存マップの刷新の際に検討すべき重要な要素をご紹介致します。


戦場は、モバイル・コンバットにおいて欠くことができない要素であり、各マップは、独創的で楽しく、そして両チームおよび様々な車輌にとってバランスが取れたものである必要があります。

皆の戦場!

このゲームには様々な車輌が登場し、各車輌の特性はそれぞれに異なっています。ですが、あらゆるマップは、あらゆる車輌にとって同等に快適である必要があり、この点は考慮すべき重要な要素です。このため、各マップを個々の車輌タイプに適した複数のゾーンで構成するようにしています。

丘陵地帯

迅速に決断し、移動しながら射撃し、高い発射速度を活かす—これこそが軽・中戦車のダイナミックな戦闘と言えます。これらの車輌のためのゾーンは他のゾーンからはやや離れています。この手のゾーンは、安全を確保しつつ動き回れるようになっていますが、強固なシェルターは用意されておらず、駆逐戦車や重戦車の場合、こういったゾーンでは機動性不足により快適には戦えない傾向があります。加えて、中戦車は仰角が小さい傾向がありますが、丘の傾斜を活用することで小さな仰角を補いつつ戦うことが可能です。

市街戦

最も分厚い装甲を誇る代償として速度が最も低い重戦車は、戦いの中心地に急行することはできません。重戦車のためのゾーンは、市街地や橋、頑丈な構造物、地形の大きな折れ目といった場所であり、こういった場所であれば、砲塔を活用しやすく、長い装填を待つ時間も作れます。遮蔽物の陰から次の遮蔽物の陰へと徐々に移動するという重戦車の進撃形態にも合っています。この手のゾーンは、出撃地点から近い場所に用意されており、敵の中戦車に別方向を確保されるまでは、敵の射撃からは守られています。

山上の茂み

駆逐戦車は前線での戦いには不向きであり、前線から離れた場所に隠れつつ味方を支援することが基本となります。駆逐戦車が敵に発見された際には脆弱となるように、そしてマップ上の特定のセクターに対してのみ支援可能であるように、複数の駆逐戦車用ゾーンを隣接して設けないようにしています。効果的に戦うためには、駆逐戦車は位置取りを変更して退避するか、射撃を遮ることが可能な大きなシェルターの背後に隠れる必要があります。

戦車の塊

各車輌は車輌タイプ別の出撃位置から出撃しますが、にも関わらず、全員が同じ方向に向かおうとする場合があります。何故でしょうか? その最初の理由は心理学的なものであり、まとまって行動することで安全を確保しつつ、自分たちより小規模な敵部隊に対する優位性を確保したい、ということです。第 2 の理由としては、現状では一部のマップの中戦車用ゾーンが他の車輌にとっても比較的快適であるか、またはそこを突破することができれば優位に立てるためです。こういった欠点は、今後のマップ刷新において修正を試みますし、新マップの作成の際には同様の問題が生じないように検討します。

陣地占領

戦闘で勝利するためには、敵車輌を殲滅する必要があります。しかし、あらゆるマップには、占領することで勝利できる中立陣地が用意されています。その占領は困難であり、占領を試みている敵にダメージを与えることで容易に占領をリセットできます。敵が陣地の防衛に戦力を割きすぎた場合、こちらが勝利できる可能性は高いと言えるでしょう。ですが、陣地の占領は、挑発という意味において重要なのです。敵が残り 1 両のみとなり、しかしその敵が高速車輌であったというケースを考えてみてください。例え 2 両の味方で追い回したとしても、時間切れに持ち込まれて引き分けに終わる可能性があります。こういう場合に陣地の占領を試みれば、リセットのためにこちらに向かってきた敵を迎撃し、勝利を得ることができるのです。

陣地占領の所要時間はあらゆるマップで同じであり、車輌 1 両の場合で 100 秒です。

マップ刷新

検討を重ねて開発したマップであっても、実装後には当初の狙いからは外れた状況が生じる場合があります。また、私たちはゲームの改良をコンスタントに続けており、新車輌を定期的に導入しているため、それに伴って戦いの状況が大きく変わる場合もあります。よって、私たちは各マップにおける戦況を慎重に観察し、必要に応じて改変を加えてマップを改良し、よりダイナミックな戦闘の実現を図っています。

次の例をご確認ください。これは「冬のマリノフカ」での車輌分布を表す 2枚のヒートマップです。下記の図では戦闘開始2 分後、および開始 4 分移行における車輌配置が示されています。

左側のマップは、戦闘開始から 120 秒以内における車輌配置を示しています。どうやら大半のプレイヤーが山へと急行し、他のエリアを無視していますね。一部の車輌が村の周辺の丘を確保していますが、これらの車輌は全て駆逐戦車です。山での戦いは戦闘中盤まで続き、そして右側のマップの通り、村とその周辺が移動のために用いられたのは、4 分以後のみでした。よって、「冬のマリノフカ」におけるゾーン設計は、狙い通りには機能していないと結論することができるでしょう。このマップは、少なくともあらゆる領域においてプレイが成り立つように刷新する必要があると言えます。

マップの刷新にあたっては、様々なソース経由でプレイヤーからのフィードバックを収集し、データが異なる何十種類ものヒートマップを分析し、何百回もの自動テストおよびテストプレイを実施し、ビジュアルエフェクトを改良します。そしてその全てを完了して初めて、次期アップデートにおいてリリースできるのです。

「冬のマリノフカ」の変更点に関しては、別の記事で改めて紹介致しますが、まずは、上空から見た旧マップおよび現段階でのドラフトマップを比較してみてください。

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